女子卓球世界ランキング・イロレーティング改善

前回の早田選手の分析をもとに、イロレーティングを改善してみます。

早田選手の評価が高くなってしまう要因を分析した結果は以下でした。

• 下位大会でも勝ち続けるとレートアップしてしまう。そのためチャレンジ大会で優勝を繰り返した早田選手は評価が高くなりやすい。
• ランキング対象外の下位選手への勝敗が考慮されにくい。そのため、大物食いだが下位への取りこぼしがある早田選手は評価が高くなりやすい。

前半の課題を解決するためには大会ごとのウエイトを変える必要があります。しかし、それは、もともと恣意的な公式ランキングのアンチテーゼとして開発されたイロレーティングの精神に、反するように思います。そのため、対策はとらないことにします。後半については対策は単純で、評価対象となる選手の母数を拡大すればよいです。

よって、以下のように算出条件を変更します。

• レーティング試算対象はITTFの最新ランキング（10月発表）の上位300選手とする。ただし、試算した結果のレーティング上位50選手のみを有効とする。

こうすれば、上位選手はほぼ全ての試合が試算対象となるため精度が向上するとともに、試算対象とならない試合が多くなって誤差が大きくなる下位選手は、そもそも無効として発表しないため、気にならなくなります。

結果は以下です。試算対象4863試合、23119セットと、ちょっとした量になりました。

	名前	国	ランク	レート
1	陳夢	CHN	1	1975
2	孫穎莎	CHN	6	1934
3	王曼昱	CHN	4	1913
4	朱雨玲	CHN	3	1906
5	丁寧	CHN	2	1887
6	劉詩雯	CHN	5	1874
7	王芸迪	CHN	38	1812
8	陳幸同	CHN	13	1804
9	何卓佳	CHN	15	1796
10	伊藤美誠	JPN	7	1794
11	石川佳純	JPN	8	1777
12	平野美宇	JPN	9	1753
13	武楊	CHN	81	1722
14	QIAN Tianyi	CHN	156	1713
15	早田ひな	JPN	26	1711
16	KIM Song I	PRK	18	1698
17	顧玉婷	CHN	76	1696
18	HAN Ying ^	GER	30	1695
19	ZHANG Rui	CHN	131	1694
20	木原美悠	JPN	52	1692
21	SUN Mingyang	CHN	122	1689
22	FAN Siqi	CHN	190	1683
23	CHEN Ke	CHN	176	1682
24	加藤美優	JPN	24	1681
25	LIU Gaoyang	CHN	169	1679
26	田志希	KOR	20	1678
27	佐藤瞳	JPN	19	1667
28	木子	CHN	148	1666
29	YU Fu ^	POR	34	1666
30	FENG Yalan	CHN	173	1658
31	芝田沙季	JPN	29	1655
32	馮天薇	SGP	12	1647
33	YU Mengyu	SGP	45	1644
34	YANG Xiaoxin ^	MON	75	1641
35	LIU Weishan	CHN	157	1639
36	長崎美柚	JPN	50	1637
37	崔孝珠	KOR	69	1637
38	DIAZ Adriana	PUR	27	1632
39	PESOTSKA Margaryta	UKR	36	1629
40	SZOCS Bernadette	ROU	17	1627
41	安藤みなみ	JPN	58	1627
42	HU Limei	CHN	285	1625
43	鄭怡静	TPE	10	1624
44	蘇慧音	HKG	31	1619
45	POLCANOVA Sofia	AUT	16	1617
46	SOLJA Petrissa	GER	21	1616
47	LI Jiayi	CHN	194	1616
48	CHEN Szu-Yu	TPE	23	1614
49	NI Xia Lian	LUX	41	1613
50	MIKHAILOVA Polina	RUS	40	1611

いかがでしょうか？かなり納得感の高い上位ランキングになったと思います。また、公式ランキング100位以下ながらも強い中国選手が、何人もあぶり出されています。非常に満足できるランキングを作ることができました。

イロレーティングの面白いところは、レーティングを元に定量的な勝敗予測ができることです。これについては、また別の記事で考察してみましょう。