全日本選手権終了記念・日本人選手は強くなったのか?イロレーティング推移で検証(2)
前回は、日本人主要選手のイロレーティング推移をもとに、日本人選手は強くなったのか?を検証してみました。明確に強くなったのは早田選手のみ、という結論でした。
今回は、マクロにイロレーティング世界トップ50の国別の推移を図に表してみました。
こちらがその図です。中国が赤、日本が青、その他の国を白としています。いちばん左が1位、いちばん右が50位です。
見てわかるように、最近の中国選手の大量参戦により赤が増え、日本選手の青がやや下位に移動傾向で伊藤選手だけ孤軍奮闘しており、その他の国の選手があおりを食って減少しています。全体傾向から、中国選手大量参戦という事情はあるものの、日本選手は強くなっていないことがわかります。特に2019年に入ってから、日本選手は中国2線級選手にもなかなか勝てない印象がありましたが、その印象を追認する結果となっています。
なお、2018年5月に日本選手が瞬間的にイロレーティング1位を獲得しています。これは芝田選手なのですが、2018年4月にチャレンジ大会2つで優勝するなど、U21含めた下位大会で活躍したためです。もちろん芝田選手が活躍した結果を数字のみで計算した結果なのですが、1位は行き過ぎでしょう。下位大会で勝ちすぎると必要以上にレーティングが上昇してしまうのは、イロレーティングの課題でもあります。
面白いのは、ITTFの公式ランキング推移から同じ図を作ると、全く景色が変わってしまうことです。こちらがその図です。
こちらを見ると、中国選手は上位は確保しているものの、トップ50は各国さまざまに分散されているように見えます。イロレーティングとITTF公式ランキングとが、かなり異なることがわかる、興味深い比較になっています。
2020年1月時点では、もちろんイロレーティングの方が実態を表していると思います。卓球の「国際化」を訴求するためには、実態を表しすぎないランキングの方が、都合が良いのかもしれません。